縁結び 恋愛成就 京都地主神社だより 令和元年１０月号

　京都市は２００７年に路上喫煙禁止条例を施行しています。京都市内でもっとも混雑する地域については、違反者から千円の過料を徴収することになっています。

　御池通り、河原町通り、四条通り、烏丸通り、及びそれらをつなぐ主な通りと、清水坂、祇園、京都駅周辺が該当します。「では、他の場所ならいいのか」と解釈する喫煙者がいるのですが、違います。

　路上喫煙禁止は京都市内全域が対象となっています。「歩きながらの喫煙だけではなく、立ち止まって、自転車・バイクに乗りながらの喫煙なども『路上喫煙等』に含まれます」としています。

　ただし、「道路や土地などの管理者が設置している灰皿での喫煙は『路上喫煙等』にはなりません」ということだそうです。

　路上喫煙等監視指導員による巡回啓発も行っており、前述した通り、違反者は過料千円を徴収されます。

　たまに、昔から煙草を扱っている商店が、店内を喫煙所として提供していることがあります。これについては店内なので問題はないのですが、店先に灰皿を置いている場合があります。敷地内であれば可、公道ならアウトです。

　いずれにしろ、不特定多数の人が往来する場所に灰皿を置くとどうなるか。

　灰皿をみつけた喫煙者が集まり、煙草を吸い始めます。外国人も多く、彼らは「灰皿が設置してあるのだから、ここは喫煙して大丈夫な場所なんだろう」と解釈します。敷地内なら間違いではありません。

　しかし、灰皿の設置場所がたとえ私有地や敷地内であっても壁や塀がないかぎり、煙は周辺に漂います。周辺住民や通行人にとっては甚だ迷惑です。
　さらには灰皿にゴミを捨てていく人がいるのです。灰皿＝ゴミ箱と認識しているのでしょう。

　京都市内の観光地では、食べ歩きがしやすい飲食物を売る店舗が増えています。これらの店では、ジュース、コーヒー、アイスクリーム、たこ焼き、クレープ、団子等を扱っています。

　飲食後、包装紙やカップ、ストロー、串、スプーンが邪魔になり、周辺に捨てていく人が大勢います。運よくゴミ箱があればそこに捨てていくのでしょうが、治安その他の事情によりどこにでもあるわけではありません。たまたま通りかかったところに灰皿があると、ちょうど良かった、とばかりにこれらのゴミを突っ込んでいくのです。灰皿に入りきらなかったゴミが周囲に散乱し、不衛生で汚く、美観も損ねます。

　灰皿にゴミを詰め込むとどうなるか。灰皿の底で燻っていた煙草の火が燃え移ります。やがて煙が立ち上がり、周辺に漂います。

　火災の危険があることは言うまでもありませんが、そこまでならずとも煙たくて臭いし、周囲はいい迷惑です。

　何十年も前、京都市バスの停留所には灰皿が常設してありました。当時は、路上喫煙する人達が大勢いたのです。市バスの停留所だけではありません。駅構内やホームにまでも、灰皿は置かれていました。当時、灰皿の中で煙草やゴミが燻り続けるというのはよくある光景でした。

　昭和の頃には病院や医院の待合室でさえ灰皿は常設されていたのです。院内で煙草を吸うのは普通のことでした。

　入院患者のための「談話室」にも灰皿は置かれていて、患者達はここで自由に喫煙していました。喫煙は病院公認で、咎められることではなかったのです。

　現在はどこの医院も病院も、すべての医療施設で敷地内全面禁煙が常識です。

　今の京都駅には喫煙所が七カ所設置されています。本来は、構内すべて禁煙にしたいところなのでしょうが、そうしてしまうと、どこででも喫煙する人がいるので、苦肉の策として喫煙所を設けています。

　八条西口にも喫煙所があります。タクシー乗り場から八条通りに出る進路に面しており、通行人からも、タクシーの乗客からもよく見えるところです。

　喫煙所はガラス張りで、喫煙者達の様子が外部から丸見えです。ここで信号待ちをしているタクシーの乗客は、退屈なのでこれを見ることになります。

　全面ガラス張りですから、良く言えばガラスの箱、見方によっては動物園の檻みたいなところで、喫煙者達はしきりに煙を吐いています。

　煙は漏れてきませんから受動喫煙の危険はありません。タクシーの乗客はサファリパークの客のように、安全な車内から喫煙者の様子をゆっくりと観察することになります。

　あのガラスの箱を設置するのにも結構な予算が投入されたことでしょう。

「吸いたい」という人がいる以上、仕方がありませんね。