神道の特徴をまず一つ挙げるとすると、多神教であるということでしょう。
これは字の通り、複数の神を信仰する宗教をいいます。これに対しキリスト
教、イスラム教など一つの神のみを信仰する宗教を一神教といいます。
この一つの神か、複数かということは、非常に大きな意味を持って、その
宗教を特徴づけています。
八百万神は、神道が多神教であることを端的に表した言葉といえます。
八百万とは、非常にたくさんの、ぐらいの意味で神様が800万おられると
いうことではありません。
ではどれぐらいたくさんかというと、落語などにもあるのですが、机は机の
神さん、トイレはトイレの神さん、茶わんは茶わんの神さんというように、
何でも神さんが宿るというぐらいたくさんなのです。
古代人の宗教である原始宗教は、すべて多神教であったといえます。
すべてのものに神霊や霊魂が宿るとする、アミニズム、岩、山、巨木、太陽
など全ての自然を信仰の対象する自然崇拝等が、原始宗教の特徴です。
日本の神道は、この原始宗教の特徴をほとんどそのまま受け継いで現在に至
っています。
現在でも未開民族の宗教もこのような原始宗教の特徴をそなえているのです
が、日本のような、世界でも有数の文明国でありながら原始宗教的な民族宗
教を行っている例はありません。
神道は、日本そのものの、世界でも非常に特異な精神文化といってよいでし
ょう。
神道の八百万神という精神文化は、地球規模での環境の危機や今後益々激化
するであろう民族紛争などの国際情勢の中、「共生」という言葉をキーワー
ドとして、非常に注目を集めつつあります。
これに付いては、改めてお伝えできたらと思います。