産土神は、氏神(うじがみ)と今では混同されていますが、
本来は、別の意味があります。
かつてお産のために、わざわざ産小屋が作られました。
内部には砂をまき、その上に藁(ワラ)がひかれました。
ウブスナのスナとは、この砂を指すのではないかと
いわれます。
なぜ砂がまかれたかは、はっきりしません。
産小屋を海岸に造る地方もありました。
日本の古代の信仰では、海の彼方に、
神の国あるいは、黄泉の国があるとされていたため
命をそこから迎えるために、海の近くに造ったとも
考えられます。産小屋の砂は、そのような
海岸の砂の名残ではないかとも思われます。
産小屋の砂は、次第に土へと変化し、土地
そのものを表すようになります。
産土神は、その土地や地域の神、すなわち
地縁の神を意味するのです。
これに対し、氏神は元々は同族の神、
血縁の神を意味していました。
スナが海岸の砂であるとすれば、
人の遠い祖先が海の生物から進化し
そして陸上にあがった、そんな遺伝子
の記憶がこのような風習をつくり出したのかも
しれません。