七夕特集
さて、次は平安時代にやってきたよ!
この頃の都の風景は、今ボクが住んでいる京都の風景とはだいぶん雰囲気が違うなぁ。
でも今夜の天の川もとてもキレイだ。
平安時代の人々も、きっとこの夜空を見ておりひめとひこぼしの物語について話をしてるんだろうな。
あ、あそこに人がいる!さっそく話を聞いてみよう!
こんばんは。今日はキレイな七夕の夜ですね。
うん。ちょうど今、遠い遠いこの星空のかなたでおりひめとひこぼしが会ってるんだろうなぁ、と話をしてたんだよ。
あれ、そちらの人はなんで泣いてるんですか?
うっ、うっ、だって、愛し合う二人が今晩しか会えないなんてあまりにもかわいそうじゃないか!
ほんとだなぁ。ようし、ではおりひめの気分になって、一つ歌を詠んでみるか。
もし自分だったら、本当に好きな人と一年に一度しか会えないなんてつらいですもんね。
おや?あそこでも誰かが歌を詠んでいるようだ。
ひこぼしとおりひめが会う夜。
こんな肌寒い秋風に吹かれると、私までもがなぜか人恋しくなってきたなぁ。
まったくだ。七夕の夜は、この美しい星空を眺めながら好きな人と過ごしたいものだな。
おや?庭園で何かが始まっているよ。
どうやらたなばた祭りのようだ。琴が置いてあって、お香がたかれ、おりひめ星とひこぼし星に向かってお供え物がたむけられている。
そしてその横でしきりに何かを祈っている人がいるぞ。
こんばんは。何をお願いしているんですか?
子どもたちの芸事が上達するようにお祈りをしていたのさ。
天の川をじっとみていると雲間にあわただしく星が光っているのが見えるだろう?
これは今まさにおりひめとひこぼしが会っている証拠さ。
二人の心の揺れが、こんなに遠くからでも見て取れるんだよ。
おりひめとひこぼしの話はただの作り話だと言う人もいるがね、実際にこうやって星を眺めていると、本当に二人が会っているような気持ちになるんだ。こんな風に無数の星が連なり川のようになっているのには、何か理由があると思わないかい?今は宮中行事である七夕が、やがては庶民の間にも広まり、そしてこの美しい伝説が何百年後も語り継がれているといいなぁ…
(本当は『安心して!約1000年後の現代でも七夕の話はとっても有名で、七夕行事はお願いごとをするお祭りとして広く庶民の間に広まっているんだ…って言いたい!』けど…) そ、そうですね…。
「七夕」と書いて「たなばた」と読むようになったのはこの頃から。それまでの「たなばた」は「織女(たなばたつめ:おりひめ)」のことを表していました。平安時代でも七夕はまだ庶民の行事ではなく、芸事の上達を願う宮中行事としてとり行われていました。